なぜなにしぇいむ☆おん 第十五回

 「里美です。なぜなに《しぇいむ☆おん》が始まるよ!」 

 「久しぶりね。何ヶ月ぶりかしら?」 

 「えっと。2ヶ月半ぶりくらいかな?」 

 「もうそんなに経つんだ。月日が流れるのは早いわね」 

 「結局5月に完成できなかったね」 

 「まあβ版が出せるところまできたってことで、
  勘弁してもらうしかないわね」 

 「そうだね!」 

 「それにデバッグが終われば、完成版としてリリースできるしね」 

 「もうすぐゴールだね。お姉ちゃん!」 

 「そうね。ゲーム内での日時が8月だったから
  内心ヒヤヒヤしてたわ」 

 「それまでにはリリースできそうなの?」 

 「デバッグに一ヶ月かけたとしても、余裕で間に合うと思うわ」 

 「そっか。
  夏休みは《しぇいむ☆おん》で遊んで欲しいね」 

 「そうね。
  本当は外に出て遊べって言いたいとこだけど」 

 「またお姉ちゃんは余計なことを言う」 

 「あはは。ごめんごめん。ところで早速質問がきてるみたいね」 

 「うん」 

【Q】みなさん携帯電話はお持ちですか?

 「っていう質問がきてるよ」 


 

 「随分まともな質問じゃない。びっくりしたわ」 

 「そうだね。どういう色でスペックとかストラップは何かとか、
  具体的で答えやすいね」 

 「そうね。でも里美は携帯を持ってないから意味無いわね」 

 「うん……」 

 「最近は基本料金も安くなってるし、
  家族割りや学割もあるんだから買ったら?」 

 「欲しくないと言えば嘘になるけど、
  そんなに必要とは思わないから」 

 「うーん。そうは言ってもねえ。
  いざってときにあると便利なんだけどね」 

 「わたしのことはいいよ。
  それよりもお姉ちゃんは携帯持ってるんでしょ?」 

 「ま、まあ一応ね」 

 「色は?」 

 「赤、というかワインレッドかな?
  少しメタリック感があるわね」 

 「カワイイとは言えない色だね……」 

 「い、いいじゃない!」 

 「どんな機能がついてるの?」 

 「古い機種だからそんなに性能はよくないわよ。
  確かカメラが133万画素で、外部メモリはなし。
  画面はQVGAってとこかしら?」 

 「ちんぷんかんぷんだよ。お姉ちゃん」 

 「里美はメカ音痴だもんね。
  ま、アタシもそんなに詳しくはないけど」 

 「ストラップは?」 

 「ん? ストラップ?
  付属品として付いてきたヤツを使ってるけど?」 

 「お姉ちゃん……」 

 「な、なによ! 女の子は携帯にカワイイストラップを
  付けなきゃいけないって法律でもあるっていうの?」 

 「ないと思うけど。でも叔父さんだって、
  カワイイストラップつけてるんだよ?」 

 「店長の携帯は顔に似合ってないというか」 

 「ファンシーな感じがするよね」 

 「でもいくら携帯の形状が卵型っていっても……」 

 「パンツの中に入れるのはやめて欲しいな」 

 「ちょっとヒワイな感じがするわね」 

 「ちょっとどころじゃないよ!」 

 「そうね。しかも色がパールホワイトだから。
  本当に卵かと思っちゃうわよね」 

 「あと着信音鳴らさないで、
  マナーモードにしてるのは……」 

 「絶対にワザとね。
  この間着信があったとき、頬を赤らめてたもの」 

 「キタキタキタキタ、かかってきましたよー!
  って言ってたよね」 

 「ほんと。どうしようもないわね」 

 「変態だからしようがないよ」 

………………

…………

……

 「ところで他のみんなは携帯持ってるのかな?」 

 「どうなのかしら?
  可奈さんが持ってるのは知ってるけど、
  美幸ちゃんと典乃ちゃんの携帯って見たこと無いわ」 

 「わたしも見たこと無い。
  多分持ってないんじゃないかな?」 

 「そうかもね。可奈さんのはピンク色だけど、
  エッジが効いたデザインの携帯だったわね」 

 「うん。いまどき珍しいストレートタイプだけど、
  格好良いよね」 

 「格好良さならアタシの携帯も負けないわよ」 

 「お姉ちゃんのは男っぽいっていうの!
  飯島さんのはオシャレなの。わかってる?」 

 「手厳しいわね」 

 「もっとかわいくならないと、人気出ないよ?」 

 「うるさいわね! 文句があるならライターに言ってよね!」 

 「あはは。ごめんなさい」 

 「まったく。最初からこんなに飛ばしてどうするのよ」 

 「そうだね。デバッグ作業しないとね」 

 「これからデバッガーたちが山ほど誤字脱字やら
  演出がおかしいだのBGMがマッチしてないだの
  報告してくるから忙しくなるわよ」 

 「そうだね。デバッガーさん。よろしくお願いします」 

 「それじゃあ。そろそろ寝ようかしら」 

 「うん。おやすみなさい」 

 「おやすみ」 


なぜなにしぇいむ☆おん第十五回 おわり