なぜなにしぇいむ☆おん 第十七回

 「……暇ねえ」

 「暇だねーぇ」

 「……ぐー」

 「トランプタワー作っちゃおうかしら」

 「じゃーぁ私は、隆也くんのために
  新作料理を開発しよーうかーな!」

 「……ぐー」

 「土台が肝心なのよね……」

 「うーん、暑い季節を乗り切れーるような
  精のつく料理というと……」

 「……あ、ああーっ!!」

 「わぁっ! 驚かせないでよっ!」

 「何だーねキミはっ!
  私と隆也くんの仲を引き裂くだけでなく、
  料理作りも邪魔する気かねー?」

 「ごご、ごめんなさいごめんなさいー。
  夢の中で、大切な事を思い出しちゃったからー」

 「大切な事?」

 「はいー。あのー、完成したみたいなんですー」

 「私の料理は、完成してなーいよっ」

 「私のトランプタワーだって、いきなり崩れちゃったわよ」

 「そっちじゃなくってー。
  あのー、完成したみたいなんですよー」

 「だから何が?
  ……えーっと、キミの名前は?」

 「あ、荒巻ですー」

 「そうそう、そうだったわね。
  で、何が完成したの?」

 「えーっと、
  《しぇいむ☆おん》が完成したみたいなんですよー」

 「……意味が分からないわ」

 「私の喫茶店が完成したというのーかい?」

 「あの、そうじゃなくてー。
  《しぇいむ☆おん》ってゲームが……」

 「何を言っているーんだ、キミはー!
  ゲーム感覚で喫茶店を経営しているわけじゃーなーいよ!
  これは私の人生そのものーだよっ」

 「ごご、ごめんなさいー。
  でも、でも本当に《しぇいむ☆おん》が完成したんですよー」

 「まーだ言うのかーね! いいでしょーう。
  ここは白黒はっきりさせないといけないよーうですねー。
  どちらが隆也くんにふさわしいかをっ!」

 「……何だか論点がずれてきているようね。
  えーっと、そこのキミ。
  もう少し詳しく聞かせてもらえるかしら?」

 「は、はいー。
  やっとこさっとこ、完成したみたいですよー」

 「《しぇいむ☆おん》が?」

 「はいー。小さなお子様からお年寄りまで、
  プレイできるみたいですよー」

 「プレイ!? それは隆也くんとーの話かーねっ!」

 「はーい、店長はちょっと一休みしていてね。
  えっと、それは全年齢ってことかしら?」

 「はいー、そういうことですー。
  あと、CPUはPentium 以降、OSはWindows 98/98SE/ME または Windows 2000/XP、
  VIDEOは65536 色以上みたいですよー」

 「……ちょっと分からないわ」

 「あのー、とりあえずですねー、
  そういうパソコンなら大丈夫みたいですよー」

 「それはパソコンが必要なのね」

 「はいー。
  あとですねー、けっこう容量が大きいのでー、
  ダウンロードするまで気長に待つみたいですよー」

 「気長にねぇ。それじゃサイコロでも作ってようかしら」

 「あははー。僕は寝て待つよー」

 「待ってばかりでーは、恋も実らないーよっ!
  私は攻めの姿勢で突き進むよーっ! 隆也くーんっ」

 「……店長、もう少し休んでいてね。
  で、それは具体的にどういうものなの?
  まだよく分かってないんだけど」

 「えーっと、女の子にきつい事を言われながら、
  どうにかこうにか仲良くなるって内容みたいですよー
  今、ベクターさんに申請中みたいですよー」

 「……ベクターさん? 外人?」

 「ベクターさんというサイトですー。
  申請してから1〜2週間かかるみたいですよー」

 「それって、けっこうかかるのね」

 「はいー。
  あと少しですから、
  もう少しだけ辛抱してくださいーって言ってましたー」

 「ふぅん、話を聞いていれば待つことばっかりじゃないの」

 「あははー、そうかもですねー。
  遅れてごめんなさいってー、ライターの人も言ってましたよー」

 「ライター? 火をつかうのかしら?」

 「そっちのライターじゃなくってー、書くほうですー」

 「あのさ、さっきから話をしていて思ったんだけど……。
  ひょっとして、会話が噛み合ってないような気がするけど」

 「え、そうですかー? そんなことないと思いますよー」

 「じゃあ、分かりやすく一言で言うと?」

 「一言でいうとですねー、
  もう少し待ってね、ということですー」

 「初めかーらそう言えばいいじゃなーいかっ!
  CPUはPentiumとか、OSはWindows SM とか
  よく分からない事を言わなくてもっ!」

 「あのー、OSはWindows 98/98SE/MEですー。
  もう少し、発言はマイルドにした方がいいと思いますよー」

 「シャラーップ!
  この熱く湧き上がる想いを、包み隠さず表現したいだけなんだーよっ!
  隆也くん、たかやくーんっ!」

 「あ、出て行っちゃった」

 「店長は、本当に隆也の事が好きなんだねー」

 「……そうね。ある意味幸せ者ね」

 「あははー。
  ……大切な事を話したら、ねむくなってきたよー。
  おやすみなさーい。……ぐう」

 「こっちは速攻で寝てるし。
  えーっと、名前なんだったかしら?」


※やっとこさっとこ完成しました《しぇいむ☆おん》!
 もうちょこっとだけ、お待ちください!

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      なぜなに《しぇいむ☆おん》その17
      ベクター申請完了記念SP おわり
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なぜなにしぇいむ☆おん第十七回 おわり