なぜなにしぇいむ☆おん 第十九回

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  なぜなに《しぇいむ☆おん》その19 
     サプライズゲスト編     
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 「やっほー!
  なぜなに《しぇいむ☆おん》はじまるわよー」 

 「え? お前は誰だって? 失礼しちゃうわね。
  中央病院の美少女ナースといえばこの私、
  藤本桃子(とうこ)さんに決まってるでしょ!」 

 「なに? 美少女違う?
  うるさいわね。細かいことは気にしないの!」 




 「ふ、藤本さん!
  一体なにをやっているんですか?」 

 「あら里美ちゃん。お久しぶり。
  隆也くんは元気かしら?」 

 「げ、元気だと思いますけど……」 

 「そう。寂しくなったらいつでも待ってるからって、
  伝えておいてくれないかしら?」 

 「そ、そういうことは自分で言ったほうが……」 

 「冗談よ。それより早苗ちゃんは?」 

 「部屋で勉強やってます。
  よく考えたら受験生なんですよね。
  お姉ちゃんって」 

 「確か早苗ちゃんもナース志望だったわよね」 

 「はい」 

 「なら私の出番ね!
  分からないことがあったらなんでも聞いて頂戴」 

 「はい。伝えておきます」 

 「どうもさっきから余所余所しいわね。
  私と里美ちゃんの仲じゃない。
  もっとフランクに喋りましょうよ!」 

 「あ、はい。ごめんなさい」 

 「うん。それでは質問いくわね」 

 「え? 質問って藤本さんがするんですか?」 

 「そうよ。
  今日は里美ちゃんの秘密に迫ろうと思って」 

 「せ、迫らなくていいです……」 

 「そんなに身構えなくていいわよ。
  全国のツインテロリ萌えを敵に回すほど
  私は愚かじゃないわよ」 

 「ツインテロリって……」 



 「じゃあいくわよー!
  まず最初は里美ちゃんの趣味についての質問を
  いってみようかしら」 

 「は、はい」 

 「園芸が趣味みたいだけど、
  実際のところ、園芸暦は何年くらいなの?」 

 「えっと。小学生の時に花壇の水やり当番になって、
  それから興味を持ったのかな?」 

 「水やり当番には自分から立候補したの?」 

 「あ、いえ。
  確か先生にやれって言われたんです」 

 「ふうん。なんか里美ちゃんらしいわね」 

 「でも先生には感謝してるんですよ。
  お花を育てるのって難しいけど、
  動物みたいに居なくなったりしないから」 

 「そうね。いつでも手元に置いておけるものね。
  あーあ。男もそれくらい従順だったらなぁ」 

 「……」 

 「アハハ、冗談よ。
  それに家でゴロゴロしてる植物みたいな男は
  ちょっと勘弁してほしいわね」 

 「どうしてですか?」 

 「どうしてって、それってヒモでしょ?
  甲斐性のない男を養うほど、
  私はまだ落ちぶれちゃいないわよ」 

 「そうなんですか。
  わたしは、ずっと一緒にいてくれるなら、
  そういう人でもいいなぁ」 

 「ちょっ! それはダメ! その考えはアウトよ!
  きっと早苗ちゃんも同じ意見だと思うから言うけど、
  絶対ダメ! ダメったらダメ!!」 

 「そ、そうなんですか?」 

 「うーん。無理強いはできないけど、
  ほぼ100%の確率で、幸薄い未来が待ってるわよ」 

 「わかりました。気を付けます」 



 「それじゃ次の質問ね」 

 「はい」 

 「一番好きな花は何かしら?」 

 「一番好きな花?
  うーん。うーん……。
  いっぱいありすぎて1つに絞れません」 

 「じゃあ夏限定でいいわ」 

 「夏に咲く花だったら。
  そうだなぁ。朝顔とかハイビスカスも捨てがたいけど、
  やっぱり“ひまわり”かな」 

 「ひまわりねぇ。ちょっと意外な感じね。
  でも確かにひまわり畑とか見ると、
  壮観な感じがするわよね」 

 「うん。
  太陽に向かって真っ直ぐ伸びたひまわりを見ると、
  頑張ろうって気持ちになるんです」 

 「さ、里美ちゃん。あなたって娘は……。
  お願い。私の妹になって!!」 

 「え?」 

 「冗談よ。でも早苗ちゃんが羨ましいわ。
  こんなカワイイ妹がいて」 

 「そ、そうかな?
  わたしはお姉ちゃんの方がかわいいと思うけど」 

 「ああそうね。早苗ちゃんもある意味カワイイわね。
  それに2人とも性格のかわいさだけでなく、
  容姿もカワイイし、お母さんも美人だし……」 

 「そ、そんなことないよ。
  藤本さんだってとっても綺麗じゃないですか」 

 「うーん。確かに容姿には自信はあるんだけど、
  どうして彼氏が出来ないのかしら?」 

 「で、でも、
  逢うたびに違う男の人を連れてませんか?」 

 「ごめん。正確には彼氏が出来ても長続きしないのよ。
  最後には“俺たち価値観が違いすぎるな”とか、
  もっともらしいこと言って逃げちゃうのよねえ」 

 「そ、そうなんですか」 

 「ねえ里美ちゃん。どうしてだと思う?」 

 「さ、さあ?
  そんなに恋愛経験ないので分かりません」 




 「ハッハッハ! 恋の悩みですかー?
  いいですよー。この私が力になりましょう」 

 「お、叔父さん!」 

 「あ、店長!
  相変わらず素敵な筋肉ですね」 

 「ハッハッハ、分かりますか。天然モノですよ。
  プロテインや薬物等、一切使用してませんからねー」 

 「本当ですか?
  ちょっとメスで切開してみていいですか?
  ピンク色の筋肉って色気あると思いません?」 

 「メスはちょっと嫌いですねぇ。
  オスならいつでもウェルカムですよー」 

 「あはは、店長最高!」 

 「お、面白いんですか?」 

 「面白いわよ。あーあ、店長がノンケだったら、
  私彼女に立候補しちゃうのに。どうしてゲイなの?
  ねえ里美ちゃん教えてよ」 

 「えっ? えっと、私に言われても……」 

 「そうよねぇ。ごめんね」 

 「ハッハッハ、
  桃子くんが性転換したなら考えますよー」 

 「本当ですか?
  それじゃ手始めに男性ホルモンでも打とうかしら?」 

 「だ、だめですよ! そんなことしちゃ!」 

 「冗談よ。
  里美ちゃんったらすぐ本気にしちゃうんだから。
  ま、そこがカワイイんだけどね」 

 「藤本さんのイジワル」 

 「ごめんなさい。悪気はないのよ。
  余りにも里美ちゃんがカワイイからつい……ね」 

 「なるほど。そうですか!
  桃子くんはそっちの趣味がありましたか。
  どうやら私と同類のようですね」 

 「そんな趣味はありません!」 

 「そうだよ。叔父さん。
  アブノーマルな人は一人で充分だよ」 

 「そうそう。バランスが大事よね」 

 「でもそうすると、
  藤本さんって琴野さんとキャラが被ってるのかも……」 

 「冗談言わないで!
  私はまだ20代前半よ!
  四捨五入したら三十路のオバサンと一緒にしないで!」 




 「誰がオバサンですって?」 

 「きゃっ!」 

 「おおっと! 竜の逆鱗に触れてしまいましたね。
  私はもう知りませんよ。
  それではアデュー!」 

 「あっ、逃げた……」 




 「さてと。私をオバサンと言ったのは誰?」 

 「里美ちゃん。早く謝ったほうがいいわよ」 

 「えっ! ええっ!!!
  ち、違います。わたしじゃないですっ!」 

 「安心して。真犯人は分かってるから。
  そこのあなた。
  立ち絵もないくせにでしゃばらないで頂戴」 

 「あらあら。そういうアナタ様は、
  正ヒロインからサブキャラに降格され、立ち絵が
  荒巻くんと同じで4種しかない御方ではありませんか」 

 「なるほど。どうやら矛を収める気はないようね」 

 「もちろん。だって紫色の髪の人になんか、
  まるで負ける気がしないんですもの」 

 「ピンク色の髪のあなたに言われたくはないわね」 


 「(こ、こわい……。誰か助けて……)」 


 「ピンクで何が悪いのかしら? カワイイじゃない。
  紫色なんて戦隊ヒーローものだったら、
  悪の女幹部くらいしか空いてないじゃない」 

 「アハハ、ひょっとしてあなたがピンク役のつもり?
  残念だったわね。
  もうウチには個性的なヒロインが5人揃ってるのよ」 

 「なんですって!!」 

 「早苗レッド、里美ブルー、典乃イエロー、可奈ピンク、
  それから美幸ブラック? とにかくもう定員枠は
  埋まってるから、あなたの出番は無し!」 

 「埋まってたんだ……」 

 「な、なんてことなの。負けたわ」 

 「(この勝負の勝敗ってどういう基準なんだろう……)」 

 「ふふふ、まだまだ甘いわね。
  顔を洗って出直してきなさい」 

 「お、覚えてなさいよ。
  アナタなんてスッピンじゃ表にもでられないくせに!」 

 「それはお互いさまじゃない!!」 




 「あーもう、ウルサーーーイ!!」 

 「あ、お姉ちゃん。勉強は?」 

 「うるさくて勉強どころじゃないわよ」 

 「あれ? 藤本さん。それに志津江さん。
  2人してなにやってるんですか?」 

 「あはは、なんでもないのよ早苗ちゃん」 

 「そうそう。騒がしくてゴメンね」 

 「本当にもう。静かにして下さいよ」 

 「本当にごめんね。そうだ。今度お詫びに、
  私が看護学校時代に使っていた、
  教科書とノートをあげるから、それで許して」 

 「え? いいんですか?」 

 「いーのいーの。ついでに勉強もみてあげるわ。
  ささ、行きましょう」 

 「あ、ありがとうございます」 




 「行っちゃった……」 

 「行ったわね」 

 「それにしても志津江さんって神出鬼没ですよね」 

 「前にも言ったでしょ。
  オバサンとか年増とか聞きつけたら、
  地球の裏側からでも飛んでくるから」 

 「そんな大袈裟な!」 

 「大袈裟じゃないわよ。
  電脳世界の住人なら誰しも兼ね備えている
  ご都合主義ワープ機能よ」 

 「なんだってー!」 

 「あはは里美ちゃんナイス!」 

 「これちょっと恥ずかしい……」 

 「あはは、そのギャップがいいんじゃない。
  それはそうと、まだ続けるの?」 

 「あ、そろそろ終わらないと」 

 「そうね。テキスト量が10K超えちゃうわね」 

 「え?」 

 「気にしないで。こっちの都合よ」 

 「はい。それでは今日はこの辺で」 

 「無駄かもしれないけど一応フォローしとくけど、
  私と藤本さん。本当は仲がいいのよ」 

 「(それはウソだ……)」 

 「それじゃあねぇ〜」 

 「さ、さようなら!」 

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  なぜなに《しぇいむ☆おん》その19 
   サプライズゲスト編 おしまい  
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なぜなにしぇいむ☆おん第十九回 おわり