なぜなにしぇいむ☆おん 第二十二回

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  なぜなに《しぇいむ☆おん》その22 
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 「はーい。
  全国の年上10万人の大好きなお友だち。
  ここに集まれー!」 

 「……あなた凄いわね。ある意味敬服するわ。
  そんなセリフ喋ったりし恥ずかしくないの?」 

 「別に? 紫(むらさき)さんは恥ずかしいの?」 

 「誰が紫さんよ!!
  そういう流れだと、
  あなたは桃(とう)ちゃんってことになるわよ?」 

 「ん? それで問題ありませんよ?」 

 「あ、そうだった。
  あなたの名前って、確か桃子(とうこ)だったわね」 

 「そうですよ。
  でも桃ちゃんって久しぶりに言われた気がするわ。
  昔はよく男の子にからかわれたっけ。
  なんだか懐かしいわ」 

 「感傷に浸るのは構わないけど、
  私のことを紫さんと呼ぶのは止めてくれないかしら?」 

 「え? 何故ですか?
  志津江の“し”を“紫”に変換すれば済むことですよ。
  いっそのこと名前を紫津江に改名しません?」 

 「しないわよ!
  それに無理矢理すぎるわよそれって」 

 「でも紫さんの髪と名前、私の髪の名前って、
  なんとなく名前から来てるのかなって思いません?」 

 「考えたことも無かったわね。多分偶然よ。
  あなたはどうか知らないけど、私の場合は絶対に偶然」 

 「そんなに紫さんが嫌なら、
  “しーぽん”って呼びましょうか?」 

 「それだけは勘弁してくれない?」 

 「我侭なヒトですねえ」 

 「そういうあなたこそ、
  自分勝手が服着てるようなものじゃない」 

 「あはは。否定はしませんよ。肯定もしませんけど。
  で、いつまでウダウダやるつもりなんですか?」 

 「あなたが私のことをマトモな名前で呼ぶまでよ」 

 「面倒な性格ですね。
  意地っ張りも程々にしないと嫌われますよ?」 

 「八方美人も嫌われるらしいわね」 

 「八方美人? 誰のことかしら? アハハハハ」 

 「誰のことでしょうね。ウフフフフ」 


 





 

 「怖いですねー。
  あの一帯はデンジャラスゾーンですよ。
  言葉の地雷原。迂闊には近寄れませんよー!」 

 「お、叔父さん。どうしてよりによって、
  あの人たちを二人きりにしちゃったんですか?」 

 「いやーなんでも私のヘアスタイルについてですね。
  ディープスロートするから、
  向こうに行っててくれと言われたんですよー」 

 「ディ、ディープスロート?
  ディベートじゃないんですか?」 

 「おっとそうでした。そっちです。
  里美くんは物知りですねー。ちなみに里美くん。
  ディープスロートの意味はご存知かな?」 

 「えっと……。ごめんなさい。知りません。
  どういう意味ですか?」 

 「世の中には、
  知らなくていいことが沢山あるんですねー。
  その中の一つだと思ってください」 

 「なんか気になるなぁ。でも分かりました」 

 「いいですねー。
  それでこそみんなのアイドル、里美くんですよー」 

 「そんな……。
  ところでどうするんですか? あのふたり」 

 「しばらく放っておきましょう。
  私には火中の栗を拾う勇気はありませんよー。
  カマ・クラならいくらでも掘りますよー」 

 「かまくら?
  でも放っておいていいのかな?」 

 「いざとなったら、
  ファイナルウエポンである姉さんに、
  この戦いを止めてもらいましょう!」 

 「うん! そうだね」 


 





 

 「言い争っていても埒があかないわね。
  前に約束した通り、ディベートで勝負しましょう」 

 「いいですよ。
  じゃあ私は店長のアフロは必要と思う側で」 

 「ちょっと! 勝手に決めないでよ」 

 「あれ? ひょっとして自信ないんですか?
  アフロは不要の方が不利と思っているのなら、
  代わってあげてもいいですよ」 

 「冗談! いいわ。私がアフロ不要論を述べるわ」 

 「じゃあ決まりですね」 

 「それじゃいくわよ。
  まず料理人という観点から、
  アフロは衛生上相応しくないわね」 

 「コック帽を被っているから問題ないと思いますけど?」 

 「残念だったわね。
  それで全部隠せるなら問題はないわ。
  でもはみ出してるのよ!
  小さなブロッコリーがふたつほど」 

 「そこがチャームポイントじゃないですか。
  それに髪の毛が全部隠れてなければいけないのなら、
  紫さんも不衛生ということになりますね」 

 「私のことはいいのよ。論点は店長のアフロなんだから。
  それにアフロはお客さんに威圧感を与えるわ。
  ただでさえ店長は身長が高いのに、
  アフロで更にプラス15センチくらい稼いでるのよ」 

 「店長が坊主頭だったと仮定したら、
  そっちの方がずっと威圧感あると思いますけど?」 

 「そんなことないわ。店長が……なら……」 

 「そうは思いません。店長が……なら……」 


  ――以降、2時間ほど白熱した議論が続く。
  (※内容は不毛だが……)
 

 「ハァハァ、
  な、なかなかやるわね」 

 「む、紫さんも。
  圧倒的不利な状況下でこれだけ反論できるなんて、
  流石ですね」 

 「そうでもないわよ。
  苦し紛れの発言ばかりで悔しいったらないわ。
  それにしても喉が渇いたわ」 

 「確かに。
  キーンと冷えたビールが飲みたいですね」 

 「いいわねぇ。ビールはやっぱりエビスビールよね」 

 「はい? ビールと言えば、
  スーパードライに決まってるじゃありませんか!」 

 「エビスよ!」 

 「スーパードライです」 




 「お待たせしました。
  あの、喉が渇いてるって聞こえたんで、
  ミックスジュースを作って来ました」 

 「ミ、ミックスジュース!(もんじゃ焼の具?)
  里美ちゃんこれって……(飲んだら死ぬわね)」 

 「アハハ、そうだ!(やばいわね)
  私そろそろ病院に戻らないと(逃げなきゃ!)」 

 「ちょっと! 逃げるつもり?」 

 「違いますよ。職場復帰です。
  それじゃあねぇ里美ちゃ〜ん」 

 「あ、はい。頑張って下さい」 

 「……あの、よかったら志津江さんだけでも」 

 「うぐっ! そ、そんな目で見ないで」 

 「はい?」 

 「そ、そうだ。里美ちゃん。
  これってひょっとして砂糖入ってる?」 

 「はい。たっぷり入ってますよ」 

 「ごめんなさい。いまちょうどダイエット中なの。
  それに私ちょっと甘いもの苦手で。
  これ、悪いんだけど店長に飲んでもらって」 

 「……そうだったんですか。分かりました。
  今度は砂糖抜きで作りますね」 

 「アハハ、ごめんね」 

 「じゃあ店長に渡してきます」 

 「はーい。店長によろしくね」 

 「はい」 


 





 

 「ふう。危ないところだったわ。
  それにしても、すごい異臭がしたけど、
  店長大丈夫かしら?」 



 「フオワッ!!
  アッアアォォッ! アオォォォッ!!
  アウッアアオッ、アアッッッッ〜〜〜〜!!!」


 「お、叔父さん大丈夫ですか!
  どうしたんですか? しっかりしてください」


 

 「……大丈夫じゃなかったみたいね。
  危ないところだったわ。ごめんなさいね店長。
  でも、誰だって自分が一番カワイイのよ」 

 「それにしても、今回も質問は無しだったわね。
  そろそろタイトル変更しないと駄目かしら?」 

 「ま、楽しければどうでもいいけどね。
  それにしても喉がカラカラだわ。
  ビールでも飲んで寝るかな。それじゃまたね」 

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  なぜなに《しぇいむ☆おん》その22 
         END       
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なぜなにしぇいむ☆おん第二十二回 おわり