-------------------------------------------------------------------------------- prologの流れ -------------------------------------------------------------------------------- <一日目> 引っ越しに伴って色々と捨ててきたので、日用雑貨を買いに商店街に向かう主人公。 問題点というか疑問点: どうして主人公は電車に乗るのか? 流れがすごく悪くなるので、美幸登場シーンはとりあえずカットしました。 自宅 (01)腹が減ったので何か買いにゆく      《主人公独白》   (花を踏み潰してしまう。最悪の出会い)      ↓ 歩道前 (02)駅に向かう途中で里美に会う       《里美》   (花を踏み潰してしまう。最悪の出会い)      ↓ 商店街 (03)電車から降りて早苗にぶつかる      《早苗》      ↓ (04)パンツ見たか見ないかで議論       《早苗》  選択:(04-1)見た (04-2)見てない      ↓ (04-1)慰謝料払えと迫らせる。→(05)へ (04-2)結局見たのがバレる。→(05)へ      ↓ (05)金が無いなら荷物を持てと、       《早苗》   店まで荷物を持たされる。      ↓ 喫茶店前(中) (06)店内で食事を貰う。店長と会話。     《早苗/店長》      ↓ (07)コーヒーのおかわりを里美が持ってくる  《里美》      ↓ (08)客が隆也知り、逃げ出す里美       《里美》      ↓ (09)駆けつける早苗と口論になる主人公    《早苗》      ↓ (10)誤解は解けないが、早苗から仲裁して   《早苗》   貰える事になる      ↓ (11)そのかわり週に五回は喫茶店に通うように 《早苗/店長》   言われる主人公      ↓ 駅前 (12)主人公帰宅(一日目終了)        《主人公独白》 -------------------------------------------------------------------------------- 52(全角26)字×3行を意識して記述 --------------------------------------------------- <一日目> --------------------------------------------------- (自宅) --------------------------------------------------- 上京して一年とちょい。 初めての引越し。 いままでは親戚の家に居候していたので、 上京したという実感が湧かなかった。 だけどいま、俺は一人だ! 自由だ! フリーダーーーム!! ――しっかし腹減ったな。 一人きりということは、 食事も一人きりということであり、 作るもの当然俺だけということになる。 やばいな。 必要最低限の荷物しか持ってきていないから、 自炊する道具なんてあるわけない。 何か入ってないかなと、梱包されたダンボールを 紐解いてゆく。 おっ、ひまわりの種発見! って、喰えるか! 他にもっとマシなのないの? …… …… …… 三〇分ほどダンボールを裸にひんむいてやったが、 お湯を沸かすヤカンひとつでてこないとはな。 我ながら見事としか言いようが無い。 ぐるるるる〜 やべっ、エネルギーをチャージしないと マジやばい。 とりあえず何か買いに行くか。 (歩道前) --------------------------------------------------- さて、用事も済んだことだし帰るとするか。 それはそうと、 さっきから殺意にも似た視線を感じるのだが。 これが殺意の波動ってやつか? 冗談はさておき、 俺、誰かに恨まれるようなことしたっけ? …… …… …… 結構思い当たるな。 「あし」 「あし? うわっ!」 振り返るとそこには小さな女の子が立っていた。 かなり可愛い。 だが、どうみても好意的とは言いがたい。 「あし」 「あしって、足の事?」 俺は自分の足を指すと、女の子はこくりとうなずく。 足がどうしたっていうんだろう。 「あっ」 ひょっとしてこれか? 「つゆ草踏んでる」 つゆ草っていうのかこの花は。 俺は自分が踏んでいる野草をしげしげと眺めた。 「いつまで踏んでるの?」 「あっとごめん」 俺は慌てて足をどけた。 女の子は俺なんか眼中にないみたいで、 地面にしゃがみこんでつゆ草の状態を観察している。 「よかった」 どうやらつゆ草は一命をとりとめたらしい。 まあ俺のことだ。 無意識下で手加減をして踏んでいたのだろう。 偉いぞ俺。 って、そんなワケないか。 「ごめんね。わざとじゃないんだ。  でもよかったね。つゆ草? が無事で」 だが女の子は無言だ。 背中から話しかけるなというオーラを発している。 だがここでめげないのが俺のいいところだ。 叩かれても踏まれてもへこたれない。 雑草魂ってやつ? 「野草とか好きなんだ。  俺も小さい頃はすもう草で遊んだもんだよ」 なぜだろう。 さっきよりも怒っているような気がする。 アピールが足りないのかな? 「あとはほら、あの赤い花。  花びらを引っ張ると蜜が付いてるやつ」 「サルビア」 「そうそうサルビア!  花壇中のサルビアの蜜を吸い尽くしたぜ」 「ぶはっ!」 なんだ。なんだ? いきなり泥が降ってきたぞ。 「野蛮人」 女の子が仁王立ちになって俺を睨んでいる。 手に持ったスコップをブルブルと震えている。 スコップで泥をすくい、投げつける。 ふむ。 論理的に推理すると、俺に泥をかけたのは この女の子という結論に達する。 だが何故だ? 俺は野草好きだって、最大限にアピールしたはずだ。 何が悪かったというのだろう。 「あのさ。野蛮人っていうのは酷くない?」 「何故?」 「何故ってそりゃあんまりでしょう。  この文明社会において野蛮人なんて」 「つゆ草を踏みにじって、すもう草を弄んで、  サルビアを蹂躙した人には勿体ないくらいです!」 なるほど。 そういう考え方もできるのか。 勉強になるな。 「いやいや誤解だ。きみは勘違いをしている」 「弁解しなくてもいいです。  早くわたしの前から消えてください」 かなり手厳しい。 だが誤解されたままでは俺の名誉が、 内藤家の名を汚してしまう!! 「オーケー分かった。  とりあえず、こんがらがった誤解という名の  赤い糸を二人で紐解こうじゃないか!」 「遠慮します。さよなら」 「ちょっ、ちょっとまっ!」 あーあ、行っちゃった。 ちょっと幼いけど可愛かったな。 近所の子かな? ぐるるるる〜 やばい! エマージェンシーコールの間隔が短くなってきた。 商店街はこっちかな? (商店街) --------------------------------------------------- どっしーん! 「ぐはぁっ!!」 わき腹に走る鈍痛。殺られちまったよ。 東京はやっぱり恐ろしいところだよ。 きっと俺が一人になるのを待ってたんだな。 痛てぇ、痛いよ母さん。 まだやりたいこと、いっぱいあったのに。 「な、なんじゃこりゃーー!!」 俺のわき腹には真っ赤な血が…… いやいやいや、なんか違う。 これは血じゃないんじゃないカナ? なんていうか血糊というかケチャップというか。 ペロリ。 なんてこった! ケチャップじゃねーか! 「ちょっとアンタ!」 ん? 誰かが俺を呼んでいる? 女の子? 声の口調からして怒っているみたいだけど。 「わかんないの?  天下の往来で、恥ずかしげも無く  ケチャップで遊んでいるアンタのことよ」 ななな、なんだと。 失敬な! 遊んでいるわけではない。 「ひょっとして俺のことかい?」 顎に手を当てた会心のキメポーズで振り返る。 するとそこには、 レストランか何かの制服を来た女の子が 尻餅をついていた。 え? これってまさか。 いやいやいやいやこれは眼福。 なんとも可愛いい しましまパンツですよ。 お兄さんは嬉しい! 涙が出そうだ。 なんか幸せでお腹が満たされた感じがする。 もちろん、気のせいってことはわかっているさ。 「ちょっと、さっきから何ニヤニヤしてんのよ!  あっ! ア、アンタ!」 女の子はスカートのすそを正してうつむいた。 気付くのが遅いな。ハハハ。 見られたことに気付いたようだね。 だけど大丈夫。 このことは俺とキミだけの秘密さ。 「見たわね?」 「ん? 何のこと?」 鋭い口調。結構怖い。 とぼけるのが精一杯だ。 このプレッシャー。只者じゃない。 「見たんでしょ?」 ゴゴゴゴゴゴゴ! という効果音が聞こえてきそうな迫力。 負けそうだ。 「正直に言いなさい。  見・た・の・よ・ね?」 選択肢:  はい。見えました。     → (1)へ  見てません。見てませんよ。 → (2)へ (1)はい。見えました。 --------------------------------------------------- 「サイッテ−!  痴漢! 変態! 女の敵! お巡りさん呼ぶから  待ってなさいよ」 「ちょっ! そりゃないだろ?  手鏡で覗いたり盗撮したりしたのなら納得するけど、  転んだキミのパンツが見えてしまったのは不可抗力だ」 「大声でパンツとか言わないでよ恥ずかしいわね」 「あ、ごめん」 俺は平身低頭女の子に謝罪した。 「嫁入り前の女の子下着を除き見るなんて酷いわ!  心に一生に傷を負ったじゃない!  慰謝料払ってよね」 「い、慰謝料? そんな馬鹿な!」 「この状況下で裁判に勝てると思ってるの?」 女の子の瞳が怪しく光る。 怖い。とてつもなく怖い。 「わかった。お金はないから身体で返そう!  初めてだから痛くしないでね?」 「バッカじゃないの。  でもその言葉。二言は無いわね」 「おうとも!」  →(3)へ (2)見てません。見てませんよ。 --------------------------------------------------- 「見てない見てない!  本当に見てないって!」 「本当に見てないの?」 「ああそうだとも。  角度的に見えない位置だったんだ  本当だよ」 「よかった。少し子供っぽいかなって  思ってたから……」 「子供っぽくなんかないよ!  全然問題ないって!」 「何が問題ないって?」 「何ってパンツの柄だろ?」 「やっぱり見てるじゃない!」 やばい。 誘導尋問に引っかかってしまった。 なんて狡猾なんだ。  →(3)へ (3) --------------------------------------------------- 「嫁入り前の女の子下着を除き見るなんて酷いわ!  心に一生に傷を負ったじゃない!  慰謝料。払ってよね」 「い、慰謝料って? そんな馬鹿な!」 「示談できないんだったら司法に訴えるわよ!  この状況下で裁判に勝てると思ってるの?」 女の子の瞳が怪しく光る。 怖い。とてつもなく怖い。 「わ、わかった。なんとかする。  お金はないから身体で返そう!  それで勘弁してくれ」 「身体で返す?」 女の子は怪訝そうな顔で俺を見ている。 まあ無理も無いだろう。 「初めてだから痛くしないでね?」 「バッカじゃないの。  でもその言葉。ちゃんと言質とったわよ。  男に二言は無いわよね?」 「おうとも!」 どーんと胸を叩く俺。 でもこんなんでいいのか? 呆気なさ過ぎる。 何かやばいことを言ってしまったか? 考えろ俺。 身体で返すということの意味を。 腎臓 肝臓 膵臓に 異常〜♪ ヤバイ。 まさか臓器移植のドナーになれとか言わないよな。 とにかく嫌な予感がする。 「それじゃ早速だけど、  滅茶苦茶になっちゃった商品を拾ってきてよ」 女の子が言う通り、よく見ると彼女が持っていたと 思われる買い物袋から中身が散乱している。 なるほど。こういうことか。 身体で返すってこういうことなのね。 安心した。 でも、欲を言えば もうちょっと色気のある展開を期待したのに。 (歩道前) --------------------------------------------------- 「まだですか?」 「もうすぐよ。だらしないわね。男のくせに」 そうは言っても買い物袋を四つ持って歩いているのだ。 散乱する前より増えているのは気のせいではない。 それもそのハズ。 散乱して無くなったり使い物にならなくなった材料を 買い足してくると言って、荷物が三倍になったのだ。 通常の三倍ってやつ? たしかに俺はケチャップまみれで赤いけどさ。 くそう。ケチャップの臭いが鼻につくぜ。 これはもう人足だな。 いや奴隷と言っても過言ではない。 人権侵害だ。 「なにをブツブツ言ってるのよ。気持ち悪いわね。  それより着いたわよ。  ここがアタシのバイト先、《しぇいむ☆おん》よ」 しぇいむおん。か。 変わった名前の喫茶店だな。 (喫茶店裏) --------------------------------------------------- 「そんじゃ俺はここで」 「なっ! ちょっと待ちなさいよ」 「これ以上こき使おうってのかよ。勘弁してくれよ」 「違うわよ。アンタその格好で帰る気なの?」 ケチャップまみれの俺。確かに臭い。 買い物にも行けない。しくしく。 「どうだっていいだろ」 「どうでも良いって酷いじゃない。  アタシの下着見たくせに!」 「だからその償いはもうしただろう?」 「あーもうっ! だからそんなんじゃないんだって」 何を怒っているのだろうか。 年頃の女の子が考えることはわからない。 「んっふーん。どうしたんだい早苗くーん」 うわっ、なんか凄いのがきた。 アフロ? アフロなのか? アフロに帽子? なんかはみ出してるよ。 それにサングラス。 そのくせエプロン着用とはどういうことだ? 「あ、店長。調度良いところに。  このみすぼらしい人に着替えを貸して欲しいんです」 「私のコスチュームでオーケーなのかーい?」 「問題ないですよ。多分」 なんか勝手に話が進んでいる。 というかこのおっさん店長って! 服を貸してくれるらしいが、 エプロンの下はラバースーツじゃねえか! 「遠慮します」 俺は脱兎のごとく逃げようとしたが、 以外にも俊敏な店長と呼ばれる男に取り押さえられた。 「ギブギブ、ギブアーーーーーップ!!」 これはなんという美人局なのだろうか? そんなことを考えならが、 俺の意識はブラックアウトした。 (喫茶店内) --------------------------------------------------- 「と、とうさん。かあさん。可奈ぁーーーっ!」 ここは何処だ? 天国にしては俗っぽい。 「やっと気が付いた。死んだらどうしようかって  店長と揉めてたところなのよ」 「勝手に殺すな!」 「生きてたんだからいいじゃない。  それより何か食べる? お腹空いてるんでしょう?」 「あ、うん」 女の子にそう言われるや、 俺の腹の虫が雷のような音を立てた。 「喫茶店内で餓死されちゃたまんないからね」 女の子は鼻歌を歌いながら厨房に戻っていった。 と思ったら、またすぐに戻ってきた。 「ねえねえ。  さっき寝言で『可奈ぁーーー』って叫んでたけど、  誰なの? 彼女?」 「キミには関係ないだろ」 「あるわよ。  だってアタシはあんたの身体を貰ったんだから  その所有者としては当然の権利でしょう?」 「はい?」 「だから、アンタの身体はアタシのもの。  了解?」 「するかっ!」 「ところでアンタの名前は?」 とことん人の話を聞かないやつだな。 マイペースすぎるというかなんというか。 だが可愛いので許す。 「俺は内藤。内藤隆也」 「ふーん。隆也ね。なんか平凡」 「そういうキミは?  俺も名乗ったんだから、うわっ!」 いきなり女の子の顔が近付く。 挑発するように胸を突き出して、 これは触ってもいいということか? ゆっくりと手を伸ばす。 あと少しで柔らかいましまろちゃんが…… バチン! 「いてーーーっ!」 「ばっ、ばか! 変態! なにしようってのよ。  ネームプレートを見なさいって意味よ。  この痴漢! 変態!」 なるほど。そういうことか。 人生そう甘くはないか。 「阿部 早苗。早苗ちゃんか」 「早苗さまでしょ?」 「言ってろ」 「アハハ、それじゃあ首を長くして待っててね」 パタパタと早苗ちゃんが厨房に駆けてゆく。 なんというか疲れた。 (喫茶店内) --------------------------------------------------- あー、美味しかった。 最初はあの店長が作ったものだから どうなることかと思ったけど、 これが以外に美味いのなんの。 「もう食べたの?  よく噛んで食べないと病気になるわよ」 「なに? 心配してくれるの?」 「バ、バカ! そんなんじゃないわよ」 「それよりも仕事はいいのかよ?  料理冷めるぜ」 早苗ちゃんのトレイには、 美味しそうな料理が湯気を立てて乗っている。 「そうね。忙しくなってきたから隆也の相手はして  らんないみたい。変わりに他のバイトの子が来るかも  知れないけど、変なちょっかい出したら許さないから」 「ジェントルメンの俺がそんなことするかよ」 「どうだか」 「早苗くーん。5番テーブル。料理まだー」 店長の声が響く。 「はーい。いま行きまーす」 慌てて駆けてゆく早苗ちゃん。 口は悪いが容姿は抜群だ。 月並みな表現だけど、 どこかで見たような気がするんだよなあ。 まあいいや。 コーヒーのおかわりの飲んで帰ろう。 …… …… …… 「コーヒーのおかわりお持ちしました」 抑揚のない淡々とした声で早苗ちゃんより もっと若そうな女の子が現れた。 「あっ!」 「おや、奇遇だね!」 なんとも驚いた。 コーヒーのおかわりを持ってきてくれたのは、 出かけに合った《つゆ草》少女だ。 この再会は奇跡としか言いようがない。 ハレルヤ神さま。ありがとうございます。 「こんにちは。また会ったね子猫ちゃん」 「ス、ストーカー」 「ななな、なに言ってるの!」 あ、逃げた。 女の子はパタパタと厨房の中に引っ込んでしまった。 …… …… …… 「ちょっと! ちょっと!  あんたウチの里美になにをやったの!  あのコ怯えているじゃない!」 「え、いや、誤解……」 「あれほど他の子に手を出すなって言ったのに。  よりによって里美に手を出すなんて、  この痴漢! 変態! ロリコン!」 血相を変えて飛んできたのは早苗ちゃんだった。 まさか同じバイト先だったとは。 「まあ待て。少し落ち着こう。  どうも色々と誤解があるようなんだ」 「落ち着け? 落ち着けですって?  私はともかく妹にまで手をだしたら  承知しないんだからね!」 「ちょいまち。妹って!  まあそれは置いといて、  俺はいつ早苗ちゃんに手を出したんですか?」 「うるさいわね。仮の話よ。  そんなことも分からないの?  バカ隆也!」 ひどい言われようだ。 まあ確かに非は俺にもちょっとはあるけど。 いや、かなりあるかもしれない。 「とりあえず俺の話を聞いてくれ」 まだブツブツ文句を言っている早苗ちゃんをなだめ、 俺は《つゆ草》事件について詳細に説明した。 …… …… …… 「どう考えても、100%隆也が悪いんじゃない」 「そういうことになるのかな?」 「ならないとでも思ってるの? 「とにかく、隆也が来るたびに厨房に引っ込まれると  困るから謝ってよね」 「いや、もう来ないからいいよ」 「はぁ? ふざけないでよね。  何のためにサービスしてあげたと思ってるの?  常連になってもらうために決まってるでしょう」 「そうだったのか。知らなかった」 「週に五回は顔を出さないと訴えるから!」 「そんな酷い」 「慰謝料百万円!」 ずいっと片手が伸び、 人差し指がクイクイと曲がっている。 なんか境の商人みたいで怖い。 「週に五日寄らせてもらいます」 「よろしい。  それじゃあ里美はアタシがとりなしてあげるわ」 「謝らなくていいのかい?」 「あのコ、人見知りが激しくてそんなことされても  かえって逆効果になると思うから」 急にしんみりとした口調で早苗ちゃんが呟く。 少しがめつくて嫌な子だと思ったりもしたが、 どうしてどうして、 妹想いの優しいお姉ちゃんじゃないか。 「悪いね。ありがとう」 「会計はあっちよ」 「えっ? タダじゃないの?  サービスって聞いたような?」 「サービスはいっぱいしてあげたでしょう?  料理の代金とは別に決まってるじゃない」 「さ、詐欺だ!」 「店長! 食い逃げでーす」 「なんだってー!  料理以外に、私の関節技を喰らいたい人が  いるようですねー」 「払います。払わせてください!」 「毎度あり」 (部屋の中) --------------------------------------------------- 疲れた。 散々な目に遭った。 引越しとはかくも恐ろしいものなのか。 初日でもう挫けそうだ。 明日は可奈が手伝いに来てくれるんだっけ? とりあえず寝よう。 --------------------------------------------------- <一日目終了> --------------------------------------------------- --------------------------------------------------------------------------------