なぜなにしぇいむ☆おん第四回

 「里美です。なぜなにしぇいむ☆おんが始まるよ!」

 「早苗よ。で、今日はなんなの?」

 「そ、そんなに急がなくても……」

 「仕方ないじゃない。忙しいんだから」

 「そうなの?」

 「ええ。主にシナリオ担当がね」

 「それじゃあ急いでやらないとね」

 「逆にダラダラやってしまうのもいいかもね。うふふ」

 「お、お姉ちゃん悪だよ。顔が怖いよ。ヒロインの顔じゃないよ」

 「なに言ってるの。女は二つの顔を持つのよ」

 「そ、そうなの?」

 「そうよ。正確には四つくらい持ってないと生きていけないのよ」

 「よ、四つも?」

 「そうよ! まずデフォルトの性格。これは分かるわよね?」

 「う、うん。なんとなく」

 「次に外面ってやつね。建前ともいうわね。この辺りは基本よ」

 「わ、わかった」

 「更に好きな異性の前でする顔と、嫌いな異性の前で見せる顔」

 「それで全部なの?」

 「まだまだあるけどこれ以上はちょっと長くなるから勘弁してあげるわ」

 「女の人っていくつもの顔を使い分けて、器用なんだね」

 「里美だって女じゃない。なにとぼけたこと言ってるのよ」

 「う、うん。そうだけど。お姉ちゃんのお話、よくわからないから」

 「ま、できれば里美はそのまま成長して欲しいんだけど、」

 「それだと社会に出たときに困るし……。悩ましいわね」

 「わたしはお姉ちゃんが居れば平気だよ」

 「またそんなこと言って甘える。」

 「それはそうと、時間がないって割にはダラダラと進行してるわね」

 「そうだね」

 「今日の質問はナニ? そもそも何かあったの?」

 「えっとね。寝るときはどんなパジャマですか?って質問があるよ」

 「いまの季節でいいの?」

 「うん。多分……」

 「いまのって言ったけど、ゲームの季節は夏だったわね」

 「このコーナーでは時系列を無視していいと思うよ」

 「じゃあ2月現在の寝巻きを答えればいいのね?」

 「うん」

 「アタシは上下揃いのスウェットスーツで寝てるわ」

 「お、お姉ちゃん色気なさ過ぎだよ」

 「だって事実じゃない」

 「あとハンテンも着てたりするよね」

 「そうそう、暖かいのよ」

 「お、お姉ちゃんって、本当に年頃の女の子?」

 「そ、そういう里美はどうなのよ?」

 「わ、わたしは普通のパジャマだよ。パステルイエローで、白いチェック地が入ってるの」

 「確か胸にネコのワンポイントがあったわね」

 「うん」

 「里美だって色気ないじゃない」

 「ううっ、確かにそうだけど、お姉ちゃんとは次元が違うよ」

 「色気、ねぇ…。可奈さんとかはセクシー系のネグリジェなんかを着て寝てるのかしら?」

 「ど、どうなんだろう? そうかも……」

 「セクシーな志津江さんなんかもうスケスケだったりするかも」

 「ス、スケスケなの!?」

 「知らないわよ。そうかもしれないわねって話でしょう。」

 「ま、知りたくはないでしょうけど、店長の寝巻きは凄いわよ」

 「うん。いまだに馴れないよ」

 「まあパンツ履いてくれてるのは最後の良心ってことろかしら?」

 「というかお姉ちゃん。叔父さんはパンツしか履いてないよ」

 「一応ガウンみたいなもの羽織ってるじゃない?」

 「寝る前にね。寝るときはピチピチの皮製のパンツだけなんだよ」

 「どうしてそんなこと里美が知ってるのよ?」

 「だ、だって。み、みちゃったんだもん」

 「見たってどういうことよ?」

 「ち、違うよ。お姉ちゃん! ヘンな誤解しちゃいやだよ」

 「誤解じゃないならなんなの?」

 「夜中に喉が渇いて台所に言ったら、トイレに入っていた叔父さんが出てきて、」

 「その、そのときの格好が、その……」

 「パンツ一枚だったと」

 「うん」

 「はぁ。年頃の娘が二人居るって認識してないのかしら?」

 「仕方ないよ。叔父さんゲイだから」

 「そうね。仕方ないわね。ゲイだから」

 「でも、内藤さんが可哀想かも…」

 「そうね。シャレ抜きで狙ってるからね」

 「ひょっとして、ひょっとしてだけど……」

 「どうしたの?」

 「叔父さんとわたしたちが、内藤さんを巡って争うシナリオとかあるのかな?」

 「それって隆也と店長のハッピーエンド? アタシたちより店長を選ぶっての?」

 「うん」

 「別に隆也が誰と結ばれようが構わないけど、」

 「アタシたちが店長に負けるっていうのは勘弁ならないわね」

 「ちょっとイヤかも」

 「そうなったらアタシ刺すわ」

 「さ、刺すって誰を?」

 「隆也と店長、二人ともよ」

 「そ、そんな血みどろなバッドエンド、しぇいむ☆おんには似合わないよ」

 「いいえ。これは女の意地よ」

 「そ、そうならないためにも、お姉ちゃんと内藤さんが仲良くすれば?」

 「隆也から一生懸命アプローチするなら考えなくもないけど、」

 「アタシから譲歩するなんて…」

 「お、お姉ちゃん……」

 「そうそう、砥石で包丁を研いでおかないとね。うふふ」

 「お、お姉ちゃんが壊れた…」

 「うふふ。うふふふ」

 「そ、それでは今日はこの辺で!」

 「うふふふふふふふ……」

 「さ、さようなら〜」

なぜなにしぇいむ☆おん第四回 おわり