なぜなにしぇいむ☆おん第十回

 「里美です。なぜなに《しぇいむ☆おん》が始まるよ!」

 「残念! 前スレに間に合わなかった!」

 「惜しかったね」

 「せっかく前スレで終わらせて、β版の作業に取り掛かろうと思ってたのに」

 「うんそうだね。でも立ったものは仕方ないよ」

 「でもいい加減シナリオを書いてしまわないと、温厚なスタッフも笑顔で青筋立てそうね」

 「シナリオよりも字コンテを提出しないといけないらしいよ」

 「そうね。それがないと絵班が動けないものね」

 「うん。そろそろシナリオ班が提出した字コンテからCGを起こす作業が終わっちゃいそう」

 「そろそろお尻を叩かれそうね」

 「お姉ちゃんってSMの趣味とかあるの?」

 「そういう意味じゃないわよ! 比喩よ比喩!」

 「にゃはは、冗談だよお姉ちゃん」

 「それにやることは字コンテだけじゃないしね」

 「うん。スクリプト班に提出するシステムフローやら、プレスクリプト形式のテキストも書かないと」

 「あーあ。めんどくさいわねー。誰か代わりにやってくれないかしら」

 「か、代わりって。お姉ちゃんそういう横着はダメだよ」

 「そう? 画面効果だけでもいいんだけど」

 「ダメダメ! ちゃんと自分でやらないといけないんだよ」

 「厳しいわね里美は。それにしても今日は楽屋ネタが多いわね?」

 「うん。今日は質問少なかったから……」

 「別に無理して盛り上げなくてもいいのよ?」

 「そうだけど」

 「早く切り上げることも大事よ?ダラダラ垂れ流せばいいってもんじゃないんだから」

 「そうだね。それじゃ質問の回答をやっちゃおうか?」

 「いいわよ」

 「はい。それでは最初の質問はこれです。じゃん!」

Q1.しぇいむ☆おん の時給っていくらなのさ?

 「うわぁ、生々しい質問がきたわね」

 「いくらなの?」

 「ああそうか。里美は知らなかったのよね」

 「うん。毎月お手伝い料として1万円も貰ってるから」

 「まあ里美の歳なら、お小遣いとしては多い部類よね」

 「うん。でもガーデニングの維持費に半分近く使っちゃうから」

 「そんなにかかるものなの?」

 「カワイイ植木鉢とか、結構高いんだよ」

 「プラスチックのコンテナじゃダメなの?」

 「外に置いておくならいいけど、お部屋用のはやっぱりカワイイ方がいいな」

 「ふーん。なるほどねぇ」

 「ところで時給っていくらなの?」

 「そうだったわね。時給と言っても人によって違うのは分かるわよね?」

 「うん。なんとなく」

 「一応バイトの時給は店長と志津江さんが決めているんだけど」

 「ま、アタシも少しは口出しするけど、これは皆にはナイショよ」

 「うん。わかったよお姉ちゃん」

 「バイトの年数やスキルに応じて時給は決まってて、例えば見習い期間は一律750円よ」

 「安いんだか高いんだかわからないよ」

 「都会の感覚じゃ安いわね。それから正式なバイトと認められると800円になるの」

 「ふーん」

 「あとは本人のやる気と能力次第で時給は上がるわ」

 「なんとなくわかったけど、みんなの時給っていくらなの?」

 「それは言えないわよ。確かにアタシは知ってるけど」

 「ええー、教えてよ。お姉ちゃんのケチんぼ」

 「ケチとかそういう次元じゃないの。里美は自分が知らないところで、通知表を公表されて嬉しい?」

 「嬉しくないに決まってるよ」

 「それと一緒なのよ。わかった?」

 「うん。確かにそうだね」

 「参考までに、アタシの時給は1000円で換算してるから」

 「た、高いんだね?」

 「そうでもないわよ。1日6時間で1ヶ月20日ばかり働いてるから」

 「単純計算で12万ってところかしら」

 「じゅっ、12万円!!」

 「でもアタシが貰っているのは2万だけよ」

 「え? どうして?」

 「お母さんの入院費とか、まあ色々と使い道はあるのよ」

 「あ……、ごめんなさいお姉ちゃん。わたしだけなんか……」

 「勘違いしないで! 里美の余剰金も一緒にしてあるから」

 「え?」

 「里美も月に4〜5万円分は働いているのよ。そこから1万円を引いた額を入院費に充ててるから」

 「そ、そうだったんだ。なんか嬉しいよ」

 「そうよ。里美もちゃーんと貢献してるんだから」

 「お母さん。早くよくなるといいね」

 「そうね。明日はお見舞いに行きましょうか」

 「うん。あとね、鉢植えのパンジーが咲いたから持って行ってもいい?」

 「いいんじゃない? で、次はなに?」

 「え? 次って?」

 「次の質問よ」

 「あの、今日はこれでおしまいみたい」

 「あらら。一つしか質問なかったの。まあその方が手間が省けていいか」

 「でも少ないのも寂しいよね」

 「そうね。それじゃ質問も無いようなら、そろそろ寝ましょうか?」

 「そうだね。ここ最近ずっと遅かったから、結構眠いよ」

 「アタシもよ。それじゃあおやすみなさい」

 「おやすみなさい。さようなら!」

 「またね。ってまた機会があるといいんだけどね」

 「一言多いよ、お姉ちゃん!」

なぜなにしぇいむ☆おん第十回 おわり