なぜなにしぇいむ☆おん第九回

 「里美です。なぜなに《しぇいむ☆おん》が始まるよ!」

 「黒いヒロインというのが定着しつつある早苗よ」

 「お姉ちゃん卑屈すぎだよ……」

 「なによっ!」

 「な、なんでもない。あの、機嫌が悪いんだったら今日はやめとく?」

 「そうね。今日は謎のマスクマンズがやってくれたから、アタシたちがやるまでもないわね」

 「でも質問が結構溜まってるよ?」

 「どれくらいあるのよ?」

 「えっと微妙なのも含めると7件もあるよ」

 「結構増えてきたわね」

 「うん。ちょっとずつでも消化していかないと、答えられずにこのコーナー終わっちゃうよ」

 「ああ、そういえばこのスレを最後にしばらく潜伏するんだっけ?」

 「うーん。需要があるなら、次のスレくらいまではあると思うけど……」

 「まあそれくらいが妥当よね」

 「うん。体験版の配布がメインで、それに対する意見や」

 「改修案とバグ報告もたくさん収集できたんだって!」

 「なるほど。当初の目的は達成できたというわけね」

 「うん。でも別にスレがあっても問題ないと思うけど、保守業務に奔走してたら……」

 「作業が遅れて、それこそ本末転倒ってわけね」

 「うん。早く完成させた方が、完成版を待っててくれてる人たちも喜ぶと思うし」

 「わかったわ。じゃあやりましょうか」

 「うん。ありがとうお姉ちゃん」

 「それじゃあキリキリやっていくわよ!」

 「そうそう。このコーナー宛ての質問じゃないけど、《しぇいむ☆おん》は吉里吉里で作成されてまーす」

 「そうみたいね。だからマカーには諦めてらうしかないわね」

 「それじゃあ最初の質問からいくね」

 「いいけど面倒だからいちいち、じゃん! とか言わなくていいわよ」

 「あ、うん。でもそうするとどうやればいいの?」

 「質問を書き出して、それに答えていけばいいんじゃない?」

 「うんわかった。やってみるね」

Q1.隆也のどこに惹かれてゆくと思う?

 「というのが最初の質問でーす」

 「パス!」

 「え? どうしてなのお姉ちゃん?」

 「だってこれってネタバレに近いものがあるじゃない」

 「うーん。言われてみればそうかも……」

 「でしょう? だからこの質問の答えは、完成版で確かめてね!」

 「うわ! 宣伝が上手だね。お姉ちゃん」

 「うふふ。じらすのも作戦よ」

 「これでもう質問者は完成版リリースまで悶々とした日々を送るしかないわ」

 「あ、悪だ。お姉ちゃんのキャラ属性が、魔性の女になってゆくよー」

 「なぜなに《しぇいむ☆おん》のアタシと本編のアタシは違うのよ」

 「そうなの?」

 「そうよ。里美だってそうでしょう。ここではアタシと喋っているからこんなフランクな口調だけど」

 「隆也と喋ってる時なんて、ガチガチじゃない」

 「うう。言われてみればそうかも」

 「分かればよろしい。じゃ、次の質問いってみましょう!」

Q2.スリーサイズと趣味は?

 「パス2!」

 「お、お姉ちゃん。七並べじゃないんだよ?」

 「冗談じゃないわよ。なんでスリーサイズを公表しなくちゃならないのよ?」

 「なんでって言われても……」

 「じゃあ里美のスリーサイズを公表してあげましょうか? ついでに体重も」

 「や、やめてよ! そんなことしたら、お姉ちゃんでも怒るよ」

 「ほら、イヤでしょう?」

 「う、うん」

 「いくらアタシたちが二次元の住人でも、こういう質問は失礼だと思うわ」

 「そうだね。でも趣味くらいなら答えてあげてもいいんじゃないかな?」

 「そうね。なんかついでに聞いてみたって感じが否めないけど」

 「わたしの趣味はガーデニングだよ」

 「まあ公式サイトをチェックすれば書いてあることよね」

 「うん。でもお姉ちゃんの趣味って書いてないよ?」

 「だって趣味って呼べるものがないんだもの」

 「お姉ちゃん水泳は?」

 「あれは趣味じゃないわよ。特技と言うか得意なスポーツでしょ」

 「じゃあ料理は?」

 「それも趣味じゃないわ」

 「えと、えっと、それじゃあ下着コレクション!」

 「バッ、バカ! なんてこと言うのよ! 恥ずかしいじゃない」

 「だってー、他に思いつかなかったんだもん」

 「だからって下着収集が趣味って、変態みたいじゃない」

 「でもカワイイぱんつとかいっぱい持ってるよね」

 「だからそういうことは言わなくていいの!」

 「ご、ごめんなさい」

 「まったく。また一つ変なレッテルを貼られそうよ」

 「本当にごめんなさい」

 「いいわよ。もうこうなったら450ヒロインで行くから」

 「次はなに? かかってらっしゃい!」

Q3.得意な科目と苦手な科目は?

 「ようやくまともに答えられそうな質問ね」

 「そうだね」

 「得意というか好きな科目は数学と体育かな?」

 「お姉ちゃんに苦手な科目ってあるの?」

 「もちろんあるわよ。古文と美術が駄目ね」

 「古文はまあ勉強すればある程度の点数はとれるけど、美術だけはどうしようもないわね」

 「でもお姉ちゃんの通知表で4以下をみたことないよ?」

 「そうだっけ?」

 「そうだよ。お姉ちゃんはずるいんだよ」

 「ずるいって、一応これでも努力してるのよ?」

 「わたしにもお姉ちゃんみたいに頭が良かったらなあ」

 「話聞いてる?最初から頭が良いってことはないの。ちゃんと勉強しないとダメなの」

 「その勉強する才能があるっていうのが凄いよ」

 「……なんか話がかみ合わなさそうだからいいわ」

 「それより里美の得意な科目と苦手な科目はなんなの?」

 「あのね。わたしは理科の生物が得意というか好きだよ」

 「物理は?」

 「全然ダメ。苦手な科目の一つだよ。数学ももちろんダメ」

 「まあ学校の成績が全てじゃないわ。女は知力よりも容姿なのよ」

 「そうなの?」

 「悲しいけどこれって現実よ。自分より頭が良い彼女は要らないですって」

 「どうしてなのかな?」

 「つまらない見栄やプライドなんでしょ。バカらしい」

 「よくわからないけど、お姉ちゃんの彼氏になるひとって大変そう……」

 「どういう意味よ?」

 「な、なんとなくそう思っただけだよ。そんなに睨んじゃイヤだよ」

 「ごめんごめん。じゃあ次の質問いこうか?」

 「うん」

Q4.どうして18禁じゃないの?

 「パス3! ってうか死ね!」

 「お、お姉ちゃん。“死ね”はNGワードだよ!!」

 「だってこんな無礼な質問ってないんじゃない?」

 「そうだけど、元々は18禁という企画だったんだよ」

 「知ってるわよ。でも諸々の事情によって全年齢に変更になったのよね」

 「その諸々の事情ってなんなのかな?」

 「実はそこまでは詳しく知らないのよね。確かスタッフに18歳未満の人が居たからとかなんとか」

 「スタッフが18歳未満だったら確かにマズイよね」

 「そうね。未成年にお酒を飲ませるようなものだからね」

 「でも実は全年齢で良かったってホッとしてるんだ」

 「アタシもよ。でもスタッフの一部に、18禁を諦めていないヤツが居るとか居ないとか……」

 「ええ! そんなのイヤだよ」

 「ま、そんな気力、いまのスタッフには無いと思うけど。特に絵描き班がやんないって言えばそこで終りだしね」

 「よかったぁ」

 「じゃ、次ね」

Q5.店長がゲイだと知ったときどう思ったか?

 「正直ほっとしたわね」

 「うん。わたしもー」

 「いくらお母さんの弟とは言えども男には変わりないしね」

 「初対面の時はちょっとキモいというか、怖いって思ってたから」

 「わたしも怖かった」

 「だから店長が自分がゲイであることをカミングアウトしてくれた時は」

 「なるほどと思うと同時に安心したものよ」

 「わたし、最初はゲイってなんなのか分からなかったよ」

 「確か里美が小学生でアタシが中学の時だったわね。知らないのが普通よ」

 「でも叔父さんが丁寧に教えてくれたから、いまはもう分かってるよ」

 「それはそうと、いつからゲイなんだろう?」

 「生まれた時からって言ってたよ」

 「店長らしいわね」

 「ちなみにシナリオ書きは、店長のフルネームの意味を知らなかったらしいわ」

 「ええ! あの『やらないか?』を知らなかったの?」

 「それは知ってたみたいだけど、その『いい男』の名前が“阿部高和”だって言うのを知らなかったみたい」

 「そうなんだ。知らないほうがよかったのに……」

 「でも知ってしまった以上、もう引き返せないわ」

 「でも勝手に“阿部高和”の名前を使っていいのかな?」

 「どうなんだろ? せめて名前の一部を変えるとかしたほうが良かったかも」

 「今更だよね?」

 「そうね。今更こんなこと言っても仕方ないわ。次いきましょうか」

Q6.生まれ変わったらどんな人生を送りたい?

 「パス4!」

 「お姉ちゃん。パスは3回までだよ」

 「七並べやってるわけじゃないからいいのよ」

 「そ、そうだけど……」

 「そもそもまだ体験版が出来て、ようやく生まれた状態だってのに」

 「いきなり生まれ変わったらとか聞かれても。ねえ?」

 「確かに難しい質問だね」

 「そうね。せめて、生まれ変わるならどんな動物になりたい?とかなら答えようもあるんだけどね」

 「じゃあさ。代わりにそれを答えちゃおうよ?」

 「そうね。質問してくれた人も、これで少しは納得してくれるかもね」

 「はいはーい! あのね。わたしはネコがいい!」

 「予想通りというかなんというか。100%そうくると思ってたわよ」

 「えへへ。お姉ちゃんは?」

 「アタシ? アタシはそうね。犬かな? それも大型犬」

 「秋田犬とかシベリアンハスキーみたいな?」

 「そうね」

 「どうしてイヌなの?」

 「じゃあ里美はどうしてネコなの?」

 「……か、かわいいから」

 「アタシの理由もそんなところよ。大した理由はないわ」

 「あ、ねえねえ。お姉ちゃん」

 「なに?」

 「ついでだからみんなを動物に例えてみようか?」

 「ああ、面白そうね」

 「あのね。叔父さんはクマさん」

 「ブッ! い、いけない。なんか熊先生の方を連想してしまったわ」

 「アタシってば、相当病んでるわね」

 「くま先生?」

 「ああ、里美は知らなくていいの。それよりも志津江さんは何かな?」

 「志津江さんはキツネかな」

 「ああ、なんかそんなイメージがあるわね。じゃあ荒巻くんは?」

 「えっとね。ゴマアザラシ!」

 「まっ、妥当な線ね。というかそれ以外に無いのかもね」

 「今度はお姉ちゃんが言う番だよ」

 「え? アタシの番って、可奈さんや典乃ちゃんたちを言うの?」

 「そうだよ」

 「まったく。やりたくないことを人に押し付けるのは天才的なんだから」

 「そ、そんなことないよ!」

 「誉めてるのよ」

 「そうやって世渡りが上手くなっていけば、アタシの心配事も減るってモノよ」

 「こんなこと言えるのはお姉ちゃんだからだよー」

 「まあそうでしょうね。じゃあ恨まれるのを覚悟でやるわ」

 「あ、あの。あんまり酷い例えはしちゃダメだよ」

 「知らないわよ。里美がやれって言ったんでしょう?」

 「そ、それはそうだけど……」

 「まずは典乃ちゃん。彼女には悪いけど、お猿さん以外に思いつかないわ」

 「あのっ、リスとかバンビとかも思いついてあげて下さい」

 「なるほど。そういう例えもアリね。まあいいじゃない。無礼講よ」

 「よくないと思う……」

 「えっと。次は可奈さんね。彼女はそうね。……キリン?」

 「お、お姉ちゃん。なんかセンスがおかしいよ」

 「飯島さんを例えるなら、せめて白馬とかイルカとか」

 「里美はそういうイメージを持ってたんだ」

 「う、うん」

 「まあいいじゃない。次は美幸ちゃんね。彼女には結構前からこれだってイメージがあったのよね」

 「そうなんだ。なんだと思ってたの?」

 「ええ。美幸ちゃんはコアラに決定!」

 「コ、コアラって……」

 「変かしら?」

 「う〜〜〜〜ん。ギリギリセーフかも」

 「これでおしまい?」

 「そう言えばいままでずっと触れなかったけど」

 「なに?」

 「内藤さんについては全然言及してないね」

 「ああアイツはいいのよ。内藤隆也=プレイヤーだから、変にキャラ付けしちゃうと興冷めしちゃうでしょ?」

 「なるほど。そういう考えもあるんだね」

 「確かに考え方の一つね。これが絶対というワケではないわ」

 「でもお姉ちゃんはやりたくないんだ」

 「アタシというかシナリオ書きかな」

 「そうなんだ」

 「さあてと。気を取り直して、次の質問に答えましょう」

 「うん」

Q7.隆也の長所を教えて!

 「長所なし! いじょう! そして終了!」

 「お姉ちゃん。それはもはやツンデレとかじゃなくイジメだよ」

 「そう言われもねえ。隆也の長所なんて見当たらないじゃない?」

 「内藤さんにだって長所の一つや二つ、あるはずだよ」

 「じゃあ里美が答えてみてよ。その長所とやらを」

 「ええ! ええっと。えっと。うーん。うーん……」

 「どうしたの? ホラホラ何も浮かばないの?」

 「そんなことないもん。きっと何かあるはずだよ」

 「そう。なら考えつくまで待っててあげるわ」

 「お、お姉ちゃんも一緒に考えてよ」

 「いやよ!」

 「そ、即答しちゃうんだ」

 「そうよ。隆也のために時間を裂くなんて、例え一分、いえ一秒でも惜しいわ」

 「そこまで毛嫌いしなくても……」

 「だいたいああいう軽薄なタイプは嫌いなのよ」

 「うわ! 嫌いって言っちゃった!」

 「言ってなにが悪いの?」

 「わ、悪くは無いけど。でもゲームでは仲良くなってゆくんだよね!」

 「フフッ、さあどうかしらね〜」

 「お、お姉ちゃん、顔が怖いよ!」

 「言っとくけど、アタシの攻略は激ムズよ!」

 「そ、そうなの?」

 「……多分」

 「あっ!」

 「どうしたの里美?」

 「内藤さんの長所……」

 「なに? なんかいいところ見つけたの?」

 「うん。どんなに虐げられても、絶対にめげないところ!」

 「ああそこね。確かに、それだけは認めてあげてもいいわね」

 「凄いよね。体験版であれだけ皆に悪印象を与えても、プラス思考なんだよ」

 「それは単にバカなんだと思う」

 「そ、そうとも言うかも知れないけど、長所って短所にもなるし、短所が長所にもなるってことがあると思うの」

 「まあ否定はしないわ。でもね、短所だらけの隆也は、それが転じて長所だらけなわけなの?」

 「それもなんか違うような……」

 「まあその辺を決めるのはアタシたちの役目じゃないわ」

 「うん。ゲームをしてくれるプレイヤーさんが決めることなんだよね」

 「そうそう。分かってるじゃない」

 「えへへ。それじゃあそろそろ終りにする?」

 「そうね。かなり大量に質問に答えたからちょっと疲れたわ」

 「ご苦労さまです」

 「里美は見かけによらずタフよねえ」

 「そ、そんなことないよ。わたしだって疲れているよ」

 「そうなんだ。でも弱音を吐かないなんて偉いわね」

 「えへへ。ありがとうお姉ちゃん」

 「それじゃあ寝ましょうか?」

 「うん。それではまたね〜」

 「さよなら!」

なぜなにしぇいむ☆おん第九回 おわり