なぜなにしぇいむ☆おん第七回

 「里美です。なぜなに《しぇいむ☆おん》が始まるよ!」

 「早苗よ。今日もよろしくね」

 「それはそうと、お姉ちゃん大変だよ!」

 「どうしたの?」

 「なんと今日は質問が4つもあるんだよ!」

 「随分と増えてきたわね。ていうかこなせるの?」

 「嬉しい悲鳴ってやつだね」

 「嬉しくないわよ」

 「え? どうして?」

 「だって昨日のペースで答えていったら、終わらないわよ」

 「そ、そうだけど。少しペースを上げて答えてゆけばなんとかなるよ」

 「なら伝票を処理するみたいに、ちゃっちゃと片付けちゃいましょうか」

 「そこまで急がなくても……」

 「はいはい急ぐ急ぐ! 最初はなに? 早く言って!」

 「あ、はい。最初の質問はこれです。じゃん!」

Q1.アピールポイント(容姿&性格)はなんですか?

 「難しい質問がきたわね」

 「そ、そうだね。そんなにアピールするようなことってないよ」

 「自己PRって苦手なのよね」

 「アイドルのオーディションを受けてると思えば……」

 「里美は受けたことあるの?」

 「ないけど」

 「アタシもないわよ。だから当然、どうアピールすればいいのかなんて分からないわよ」

 「困ったね。どうしよう」

 「この際、お互いの良いところを誉め合いましょうか?」

 「あっ、それいいかも」

 「アタシが里美のアピールポイントを、里美はアタシのを言うのよ」

 「うん分かった」

 「でもなんだか緊張するわね」

 「そうなの? じゃあわたしから言うね」

 「いいわよ」

 「えっと、お姉ちゃんはとっても優しくて、強くて、頭が良くて、」

 「スポーツ万能で、綺麗で、スタイルも良くて、面倒見がよくて……」

 「ストップ! ストップ!」

 「え? どうしたのお姉ちゃん?」

 「本気で言ってるのかも知れないけど、ちょっと誉め殺しすぎよ」

 「これでも厳選してるつもりだよ」

 「とにかく鳥肌が立ってきちゃうからもういいわよ。」

 「次はアタシの番ね」

 「う、うん。お願いします」

 「里美はそうね。やっぱりそのツインテールの髪型が目を惹くわね。」

 「それからその形の良い瞳。宝石みたいで吸い込まれそうだわ。」

 「性格は控え目だけど、そこがまたカワイイのよね」

 「えへへ。そうかな?」

 「そうよ。悔しいけど、素材はアタシ以上ね」

 「そ、そんなことないよ。お姉ちゃんのほうが綺麗だよ」

 「謙遜しなくていいわよ。別に悔しくはないから」

 「アタシだって容姿に全く自信がないわけじゃないのよ」

 「なんかごめんなさい。わたし、お姉ちゃんのことちゃんと紹介できてなくて……」

 「気にしないでいいわよ。どうせアタシは、アタシは……」

 「お、お姉ちゃん?(昨日の設定スレをまだ根に持ってる?)」

 「まあいいわ。次! 次の質問はなに?」

 「え? だってまだ全員の分を紹介してないよ?」

 「そうだけど。でもそれをやりだすといつまで経っても終わらないわよ」

 「だけど……」

 「そのせいでシナリオが遅れたら他のスタッフに迷惑をかけるでしょう?」

 「そ、それはそうだけど……」

 「大丈夫よ。可奈さんたちの分は、彼女たちのライターさんが書いてくれるわ」

 「本当に?」

 「た、多分……ね」

 「うんわかった。それじゃあ次の質問を言うね。」

 「どうぞ。言っちゃって」

 「次の質問はこれです。じゃん!」

Q2.告白する(される)としたら場所はどこがいいですか?

 「そりゃあやっぱり伝説の木の下で……」

 「だ、ダメだよ! お姉ちゃんこわい企業に訴えられるよ!」

 「なによその怖い企業って?」

 「えっと、某ゲーム会社だよ」

 「そんな伝説の木の下とかって、商標でも取ってあるって言うの?」

 「わかんない」

 「世界樹だって、この〜木なんの木♪ だって伝説の木と言えなくもないわよね?」

 「そうだけど。でも本当にそこで告白したいの? されたいの?」

 「まさか。冗談に決まってるでしょう」

 「やっぱり! じゃなくて、ちゃんと答えてください」

 「あはは、ごめんごめん。でもそうねえ。改めて考えてみると、なかなか出てこないわね」

 「わたしは、植物園か遊園地の観覧車の中で、バラの花束を貰うか、渡したいな」

 「ふうん。バラねえ。貰うのはなんとなく分かるけど渡すのはどうしてなの?」

 「バラの花言葉は“愛”とか“恋”という意味があって、よく男性から女性に送られるけど、」

 「帯が紅いバラには“私を射止めて”って意味があるの。だから……」

 「なるほどねえ。私を射止めてなんて結構里美も大胆ね」

 「で、でも。多分そんな機会は訪れないよ」

 「どうかしら? ま、里美から告白することは確かにありえないわね」

 「そ、そんなことないもん。言う時は言うもん!」

 「冗談よ。そんなに怒らないで。アタシが悪かったから許してよ」

 「む〜〜、あっ! お姉ちゃんはどうなの? まだ聞いてなかったよ」

 「チェッ、思い出しちゃった。この質問バックレようと思っていたのに」

 「ダメです。ちゃんと言ってください!」

 「仕方ない答えるか。告白されるならそうねえ」

 「豪華客船のクルージングに連れて行って貰って、そこでディナーしながら告白されると嬉しいわね」

 「お姉ちゃん。それは無理だと思うよ」

 「どうしてよ?」

 「だってそんな出会い、《しぇいむ☆おん》で働いている限りありえないよ」

 「……確かにそうね。里美の言う通りだわ」

 「えっと。じゃあ気を取り直して、次の質問にいってもいいかな?」

 「いいわよ。勝手にしなさいよ」

 「えと、次の質問はこれです。ドン!」

Q3.好きなテレビ番組は?(ドラマ、バラエティ、ニュース等)

 「まあ比較的まともな質問ね。面白みに欠けるけど」

 「これってどう答えればいいんだろう……」

 「番組名を直接言うのはヤメといた方がよさそうね」

 「そうだね」

 「アタシはスポーツ中継が好きかな。オリンピックとかある年はTVにかじりついてるかも」

 「でも野球やサッカーは見ないよね?」

 「そうね。どちらかというと店長の趣味に近いかも」

 「格闘技とか好きだもんね。お姉ちゃんも叔父さんも」

 「後はそうね。グルメ紀行ものとか、料理番組とか」

 「お料理のお勉強になるよね!」

 「えっと。里美もよく料理の勉強をしてね」

 「うん。頑張る」

 「砂糖と塩程度なら間違えてもいいけど、オリーブオイルとエンジンオイルを間違えちゃダメよ」

 「ううう。ごめんなさい」

 「危うく死人がでるところだったんだから」

 「だって台所に置いてあるから使っていいものだと……」

 「まあいいわ。それよりも里美はどういう番組が好きなの?」

 「うん。わたしは動物が出てくる番組が好きだよ。あと時代劇とか結構好きかも」

 「渋いというかオッサン臭いわね」

 「時代劇というか、大河ドラマみたいな番組のことだよ」

 「どっちでも構わないわよ」

 「むー!」

 「あと店長は格闘技と、若い男性タレントが出る番組を、常人とは違った視点で見てるらしいわ」

 「違った視点ってなんだろう……」

 「続いて志津江さんだけど、意外にも、9時台のドラマは欠かさず見ているそうよ」

 「本当に? 確かに意外だね」

 「荒巻くんはなんでも見るらしいけど、番組の最後まで起きていたためしがないそうよ」

 「荒巻さんと言えば、特に映画が睡眠導入にイイって言ってましたよ」

 「視聴するために見ているわけじゃなさそうね」

 「ねえねえお姉ちゃん」

 「なに?」

 「まだ時間大丈夫なら、予想してみていい?」

 「予想って、可奈さんや典乃ちゃんたちの?」

 「うん。ダメかな?」

 「駄目じゃないけど。里美、ちゃんと言えるの?」

 「えっと。お姉ちゃんがやってくれると嬉しいかも」

 「……仕方ないわね。やるわよ」

 「やったぁ!」

 「典乃ちゃんはアレね。絶対まだアニメとか見てるわね」

 「そ、そうなの?」

 「そうよ。しかも小さな女の子と、大きなお友達が見ているような番組ね」

 「土曜や日曜の朝にやっているような?」

 「そうそう! よく知ってるじゃない」

 「じ、実はわたしも少しだけ見てるのあるから……」

 「え? そんな番組見てたっけ?」

 「あの、ビデオに録画して、夜中にこっそり見たり……」

 「そんな面倒なことしなくてもいいのに。別にバカにしたりしないから、堂々と見ていいわよ」

 「いいの?」

 「もちろんよ」

 「よかった。ありがとうお姉ちゃん」

 「さて、次は可奈さんね。彼女はうーん。やっぱり映画なのかしら?」

 「ジャンルはなんだろう? やっぱり恋愛映画とか?」

 「意外にもアクションやホラーが好きだったりしてね。ふふふ」

 「お、お姉ちゃん。なんか黒いよ。飯島さんを貶めようとしてない?」

 「そ、そんなことないわよ! 軽い冗談よ。冗談!」

 「ならいいけど。じゃあ最後は栗原さんだね」

 「美幸ちゃんかぁ。彼女ってテレビとか見てるのかしら?」

 「見てなさそう……。しいてあげるならニュースとかドキュメントとか」

 「そうね。そっち系を見てそうな雰囲気はあるわよね」

 「でも意外とバラエティ番組とか見て、クスクス笑ってたりするのかも」

 「うわっ! それってなんか意外な感じで萌え萌えな設定じゃない」

 「そ、そうなの?」

 「いや、実はアタシにも分からないわ。ちょっと言ってみただけ」

 「そうなんだ。びっくりしちゃったよ。それじゃあ最後の質問いくね?」

 「やっと最後ね。どんな質問なの?」

 「ええっと、最後の質問はこれです。じゃーん!」

Q4.喫茶店《しぇいむ☆おん》ってどこにあるの?

 「こ、これは……」

 「なんとも答えにくい質問だね、お姉ちゃん」

 「そんなことないわよ。簡単よ。《しぇいむ☆おん》は、みんなの心の中にあるのよ。うふふ」

 「お、お姉ちゃん。それって誰かがスレに書いてたヤツのパクリだよ!」

 「まずかったかしら?」

 「まずくはないけど、自分なりの回答でないといけないと思う……」

 「里美は真面目ねえ」

 「ご、ごめんなさい」

 「なんで謝るのよ。いいわ。ちゃんと答えてあげる。その代わり長くなるわよ?覚悟はいい?」

 「う、うん!」

 「昔々、そう紀元前5万年ほど昔、ようやく人類の祖先と呼べるホモサビエスが台頭してきた頃……」

 「お! お姉ちゃん! それちょっと昔過ぎだよ。せめて10年前くらいからじゃないと」

 「冗談よ。それに何年昔だろうが、場所には関係ないわよ」

 「そもそも《しぇいむ☆おん》は二次元の世界にあるのよ」

 「うわ。言っちゃった!」

 「だから三次元の住人のVIPPERたちは、アタシたちを見ることは出来ても、触れることは叶わないの」

 「触れたらどうなるの?」

 「そうね。最悪の場合宇宙が崩壊するわ」

 「そ、そんな大事なの?」

 「それくらい次元の壁は厚く、険しいのよ」

 「そ、そうなんだ」

 「でも稀に、本当に稀にだけど、二次元と三次元を行き来できるツワモノが現れるの」

 「そんな凄い人がいるんだ」

 「肉体と魂を遊離させ、魂を二次元と三次元の壁となっている」

 「絶対領域の網を潜り抜けさせる荒業があるらしいわ」

 「すごいね」

 「でもたまに戻れなくなって、二次元に閉じ込められ」

 「肉体を死滅されるという悲しい出来事も起こるのよね」

 「ひょっとして。ネットゲームのやりすぎで過労死とか?」

 「そうそう。彼らはそう、二次元の世界から戻れなくなってしまったプリズナーなのよ」

 「なんか気の毒だね」

 「自ら望んだことよ。仕方ないわ」

 「というかお姉ちゃん。話がなんかとんでもない方向に飛躍してるよ!」

 「シナリオ書きの趣味が見え隠れしているわね。これ以上、似非SF臭くなる前に退散しましょう」

 「うん。そうだね」

 「まあ一応、吉祥寺辺りの喫茶店がモデルらしいわよ」

 「え? それって、《しぇいむ☆おん》の場所の話?」

 「それ以外になにがあるっていうの?」

 「そうだね。質問してくれた人はこれで満足してくれたのかな?」

 「知らないわよ。ちゃんと質問には答えているんだから文句は言わせないわ」

 「そ、そうだけど。もっと押さえ気味に……」

 「いいのよ。こういうのがイイっていう変態もいるらしいし、需要はきっとあるわよ」

 「そんなものなの?」

 「そうよ。どうせアタシはレス15の女よ!」

 「そ、そんな!(まだ根に持ってるんだ……)」

 「まったく。むしゃくしゃするからお風呂に入って寝るわ」

 「う、うん。おやすみお姉ちゃん」

 「おやすみ」

 「えっと。そんなわけで、今日のなぜなに《しぇいむ☆おん》はおしまいです」

 「やる気が残ってたらまた明日ね」

 「が、頑張ろうよお姉ちゃん。それじゃ、ばいばーい!」

なぜなにしぇいむ☆おん第七回 おわり