なぜなにしぇいむ☆おん第八回

 「よーっし、それじゃいきますかーっ」

 「……やめようよ典乃ちゃん。きっと白い目で見られるよ?」

 「いいっていいって、だーいじょうぶだって!その時は……」

 「その時は?」

 「逃げればいいからっ!さあさあ、はりきっていきましょー!」

 「わ、わぁっ」

プロレスの悪役が被るようなマスク姿の二人組。
一人は小学生並みの体格。もう一人はグラマーな体型。

 「これからっ!このすれは、ボクたちマスクマン一号・二号がのっとったーっ!」

 「す、すみません。乗っ取ります」

 「のっとった!のっとった!ってーことで、可奈さ……じゃなくて二号さん」

 「う、うん」

 「……なにしよう?」

 「何しよう、って、考えてなかったの?」

 「うん、ぜんぜん」

 「……」

 「なんか二人がやってたのを見てたのしそーだったから」

 「……そ、そうなのね」

 「のっとった!のっとった!」

 「……あのね、典乃ちゃん」

 「うん?」

 「満足、した?」

 「うんっ!なんか飽きちゃった」

 「そ、そう……それじゃ、帰ろうか?」

 「はーいっ。のっとりだいせいこう!」

 「それじゃ……どうもお騒がせしました……」

「……おい、ノリノなにやってんだ。そんなけったいなマスク被って」

 「ノリノじゃないやいっ!テンノだいっ!……じゃなくて、ますくまん一号!」

「マスクマン一号?」

 「そうっ!そしてこっちが二号だいっ!」

 「……あれ、なんでボクの後ろにかくれてるの?」

 「わ、わたしの事はいいから」

「まあ、マスクマン一号として話すけど。そのマスクのてっぺん、むりやり破いただろ?」

 「うん。なんかジャマだったからやぶっちゃった。髪の毛がいい具合に出ていいでしょ?」

「そもそも、そのマスクどこで手に入れたんだよ」

 「ボクのおとうさんの部屋から。マネキンの頭だけのにのせて大切に飾ってあるんだよ」

「そんな大切なものを破っていいのかよ」

 「あははー、まあいいんじゃない?あとでボンドでくっつけておくよ」

「おまえはムチャクチャだな……なあ、ノリノ」

 「だーから、ノリノじゃないって!」

「じゃあ、テンノ」

 「そうそう、それでいいんだって」

「……」

 「……」

 「……あれ?」

「あれ?じゃねえ」

 「くっそー、なんでわかったんだろう?」

「んなもんわかるわっ!……あと、もう一人のことなんだけど」

 「……」

「い、飯島さん、だよね?」

 「(びくっ!)」

 「な、なんで可奈さんってわかったのさーっ!」

 「(てんのちゃん、思いっきりばらしてるってっ)」

「まあ、その……そう、雰囲気で」

 「(そ、そうなんだ……あはは……/////)」

 (ちょいちょいちょいちょいっ)

「何だよ典乃、わき腹をつつくな。っつーかいい加減にマスクを脱げ、怖いから」

 「(タカヤのうそつきー。雰囲気とかゆって思いっきり可奈さんの体を見てたじゃんかよ)」

「う、うるさいっ!ほらほら脱いだ脱いだ!……い、飯島さんも、ね?」

 「……(ぬぎぬぎ)」

「あ、あははは……と、とりあえずっ!二人は今、何をやらなきゃいけないか分かってる?」

 「のっとり?」

「うーん、当たらずとも遠からず。ほら、≪なぜなに7≫位からの流れを追ってみれば分るぞ」

 「金髪……(がーん)」

「横の連携……(がーん)」

 「ろり?」

「ほ、ほら元気出して!俺も元気出すからっ!」

 「ねえねえ、可奈さん。……ろりって何?」

 「そ、それはね、あの、かわいいって意味よ」

 「えへへ……ほめられちゃった」

「(飯島さん、ナイスフォロー)」

 「可奈さんも、とってもろりだよねえ」

 「……こ、この言葉はあんまり使わない方がいいわよ?」

 「ふぇ?」

 …………

「なぜなに《しぇいむ☆おん》は、みなさんの質問に答えるコーナーってのは分かったか?」

 「うん、わかったー」

「それじゃ、今までの質問をまとめてみたから、いくぞっ!」

寝るときはどんなパジャマですか?
好きな男性のタイプは?
なにか部活とかスポーツはやってるの?
アピールポイント(容姿&性格)はなんですか?
告白する(される)としたら場所はどこがいいですか?
好きなテレビ番組は?
喫茶店《しぇいむ☆おん》ってどこにあるの?
《各キャラクターのスリーサイズと趣味》
【得意な科目・苦手な科目は?】
店長がゲイだと二人が認識したときはどう思った?
生まれ変わったらどんな人生を送りたい?
隆也の長所を教えてエカテリーナ!

「ほら答えた答えた」

 「う……」

「これはまた、たまりにたまってるな」

 「それじゃ、そうゆうことで」

「まてノリノ。逃げようとするな」

 「うう……なんか夏休みの宿題をおもいだしちゃった……」

「最後の日に一気に片付けるタイプっぽいもんな。えーと……飯島さんも、よろしくね」

 「……」

「は、ははは……まあ全部ってのは、ちょっと大変かも」

 「そうだよそうだよーっ!うーっ!」

「それじゃ、最近出た質問に限定しようか?」

 「うんっ!えーっと、なになに……スリーサイズと趣味」

 「……えーっと、85-60-85!しゅみはアニメと戦隊ものとプロレスを見ること!」

「そ、それはすごい……(おい典乃、その数字は飯島さんのだろ?)」

 「うんにゃ、ボクのだよ」

「うそつけーっ!それのどこが85だよっ!」

 「そ、それって言うなーっ!」

「と、ところで……飯島さんに、この質問に対しての答えを……」

 「……趣味は、最近ヨガを始めて……」

「(スリーサイズの質問はスルーですか……)」

 「さあさあどんどんいくよっ!なになに……」

 「店長がゲイだと二人が認識したときはどう思った?ねえねえ可奈さん、げいって何?」

 「そ、それはね典乃ちゃん。男の子が好き、ってことよ」

 「ふーん、てんちょは男の子がすきなんだ。てんちょって、すごい人だよね」

「まあ、すごい人だよなあ……」

 「だって、料理はなんでもつくれるし、優しいし。おこったところ見たことないよ?」

 「ボクがお皿を何枚もわってもにこにこと笑ってるし。にんげんができてるなーって思うよ」

 「うん、確かにすごい人よね」

「要するに、ゲイってのは気にしていないって事だな」

 「うんっ!さあさあ次のしつもんは……」

 「生まれ変わったらどんな人生を送りたい?うーん、考えたことないや」

「お前はそういう難しいことは考えそうにないもんな。……飯島さんは?」

 「私は……やり直せるとしたら、あの頃に……」

「(なんか質問の意図がズレている気がするけども、まあいいや)」

 「さあつぎつぎっ!えっと、」

 「隆也の長所を教えてエカテリーナ!ねえねえ可奈さん、えかてりーなって?」

 「ロシアの、女帝だったかしら?」

 「……まあいいや。長所はないです。いじょうっ!」

「おい典乃。たのむからもう少し考えてくれ」

 「そうよ典乃ちゃん、よーく考えればいろいろとでてくるから、ね」

 「うーん……でも、本当におもいつかないや。可奈さん、なにかある?」

 「わ、わわわたしは、その、えっと……そう、私も、思いつかないかな……」

「ははは、……はぁぁぁ。えーと、これでとりあえず全部かな?
なんか質問に答えたり答えなかったりって感じだな」

 「あはは、まあいいんじゃない?」

「まったくお前は……おら、とっとと仕事に戻れ。クビになるぞ」

 「そっくりそのまま、タカヤに返してやるーっ!べーっだ!」

「……す、すいません」

 「それじゃ可奈さん、かえろかえろ!タカヤのばーかー」

 「そ、それじゃあ……」

「まったく、賑やかな奴だ……うん?なんかメモ用紙が落ちてるけど」

飯島 可奈 スリーサイズ 88・58・86
栗原 美幸 スリーサイズ 83・59・85
木野村 典乃 スリーサイズ 76・53・78

「……こっ、これはまた、想像がふくらみまくりな……」

 「……(じーっ)」

「うわぉっ!なんでまたマスクマンがっ!……って、美幸ちゃん?」

 「……マスクマン参合、さっそうと登場(しゃきーん)」

「颯爽もなにも、みんな帰ったよ?あと号の字がちがうんですけど」

 「……ひーろーは、遅れてやってくる(どーん)」

「そういう、ものですか」

 「……さーて、質問にこたえるよー(しゃきーん)」

「いや、もう終わってるって」

 「……スポーツとか、部活はですね(ごごごごご)」

「また以前のを引っ張ってきたね」

 「……ごはんを(ごごごご)」

「ご飯?」

 「……よそう(しゃきーん)」

「よそう?」

 「……ごはんを、お茶碗にきれいによそう(どーん)」

「えっと、スポーツの話なんだけども」

 「……次回の、東京オリンピックの際の、正式しゅもくに(ぱぱらぱー)」

「次回の東京って、何百年先なんだろう……
 ところで美幸ちゃん。あんま(しゃきーん)とか(どーん)とか使わない方がいいよ?
 使いすぎって指摘されているんだから」

 「……あっ、物をおとしちゃった(どっすん)」

 「あ、ころんじゃった(ばったん) どこからか風が?(ひゅううう)」

 「あれ、携帯にでんわが(とるるるる、ぴっ)」

「美幸ちゃんお願いします、本当に」

 「……というわけで、質問に答えたところで、参合は帰りますよ(しゃきーん)」

「そ、そうっすか。それじゃ次もよろしくね」

 「……ひーろーは、ひょっこりとあらわれる……(てくてく)」

「なんとも、よくわからない子だなあ……」

 「そうね、でもそれがウリだからいいんじゃないの?」

「……志津江さんも、ずいぶんとわからない感じですが」

 「ふふ、女性は神秘的なほうがいいのよ」

「そ、そうっすか」

 「というわけで、質問はなに?」

「いえ、終わったんですけども」


なぜなにしぇいむ☆おん第八回 おわり